浮世絵作品の紹介⑧
「浅草金竜山」

 外国人観光客に人気の浅草寺。とくに雷門は、日本一大きな提灯が目印となり、入れ替わり写真を撮る人の姿を目にします。当時の提灯は、新橋の職人が手がけ、奉納したことから「しん橋」と書かれていました。現在の朱色と違い、明るい橙色なのは他の建物との区別のためか、実際にこの色だったのか、理由の真偽はわかりませんが、初刷りではこの美しい色が使われたのだと想像されます。
 見どころは白い雪の表現です。空摺りや雲母摺りがほどこされ、雪の柔らかさや立体感を巧みに表現しています。画面は現在の雷門から仲見世通り。宝蔵門、五重塔が描かれ、左に伝法院の木々、右に仲見世があります。五重塔がかつて東にあり現在の位置とは違うこともわかります。版画の楽しさを味わうことができる作品です。

今回紹介した4点の作品は校舎1階エントランス近くに展示中です。学校説明会でご来校の際には、ぜひともご覧ください。

浮世絵作品の紹介⑦
「猿若町夜の景」

 歌舞伎ファンなら櫓が屋根にあることから幕府公認の芝居小屋であることが分かります。江戸の名物は「喧嘩と火事」といわれた当時、火災を機に市中にあった芝居小屋がここに移されました。それが画題の「猿若町」です。江戸歌舞伎の創始者、猿若勘三郎が町名の由来です。
 芝居見物を終えた人々が、その余韻にひたりつつ家路につこうとしています。満月の月明かりによって影が伸び、秋の夜の物寂しさと芝居小屋の内部の華やかさが対照的に表現されています。その他にも建物が西洋由来の遠近法で描かれ、月の位置は空の高さを感じさせてくれます。

 

立冬も過ぎ、朝夕の冷え込みも日一日と厳しくなってきました。昨日12日は校舎4階から、西方に夕焼けを背景に秀麗な富士山の姿を見ることができました。
本校があるこの地は、校歌にも歌われているように、芙蓉が丘と呼ばれています。芙蓉峰とは富士山の雅号です。創立から80余年、本校に集った生徒が皆、見てきた光景です。