夏休み中、各部活動は普段の活動に加えオープンスクールでの受験生の「体験」の準備をしました。(本文とは関係ありません) 夏休み中、各部活動は普段の活動に加えオープンスクールでの受験生の「体験」の準備をしました。(本文とは関係ありません)

7月下旬、国連・グテーレス事務総長「地球温暖化の時代は終わった。地球沸騰化の時代が到来した」と宣言しました。8月は「迷走台風」「線状降水帯」「○○川氾濫」等々(他の地方ながら)水の怖さを再認識させられるようなテレビの“映像”もたくさんあった夏休みでした。一方、ダムの水が枯れて、稲をはじめ農作物への影響も心配の地方も…。9月に入っても、本当にまだまだ暑い。そして明日は「台風対応」…。9月もきっと様々に“判断”を迫られるでしょう。
 9月1日、女子校らしい“歓声”が戻ってきました。やはり生徒の元気な声が聞こえてこその学校。始業式、講堂(もちろん、エアコンはスイッチが入っていましたが)は生徒の熱気でやはり暑かったです。夏休み、クラブ活動の成果が“表彰”という形で示され全校生徒から賞賛をもらう、その時間に費やされました。
 始業式では、いつも長い長い話をする私は、そのこと(表彰の時間)も見越して壇上では高校3年生の「総合型選抜」をはじめとする「大学入試のスケジュール」を確認しながら、「ぜひ皆さんがんばりましょう」と激励して終わりました。その代わり…(というわけではありませんが)ふたつの話を(普段から情報伝達のツールとして使っている)「BLEND」という機能を使って、全校生徒へ熱い熱い(暑い暑い)メッセージとして送りました。2学期最初の「ブログ」はこのメッセージでスタートしたいと思います。

第2学期BLEND始業式①
よいことは、自分の前を通る。後ろ向きの人は、よいことが見えない。

  皆さん、ごきげんよう。猛暑のなか、元気に夏休みを送っていましたか?今日から長い長い2学期のスタートですね。
 ところで、私は夏休みの学校のことで毎日とても気になっていて、今年は少しうれしいことがありました。補習や講習会が終わった後も、それぞれの部活が体育館・講堂・グラウンドで暑い中頑張っている姿がほぼ毎日見ることができたことはもちろんですが、私がとても気になっていてうれしかったことは図書室の利用が年々増えていることです。本校の図書館は、自分なりの計画で学習できる環境としては、実にすばらしいと、(この学校に来て以来)ずっと思っていたのです。自宅で自分の部屋にこもったり、テレビを見ながら学習する(課題をこなす)のではなく、わざわざ学校に来てでも、シンプルで静かな環境で集中して学習できるのはとても効率的だということが分かっているのだと思います。特に多くの高校3年生が活用していたことは本当に喜ばしかったことです。
 さて、本日の始業式では、いつものようにスライドで話のポイントを示しながら舞台上で話したかったのですが、あまりに時間がかかるのもよくないと思い、一番話したかったことをBLEND配信させてもらいます。(表彰など、他のプログラムもたくさんありますからね)2学期のスタートにふさわしい話かどうか…分かりませんがゆっくり読んでください。
 私は、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)が好きで、録画して(朝ドラなのに)毎晩見ています。最近では、アーカイブ(昔の番組の保存版)が昼間の時間帯にやっているので、それも録画で見ているのです。今放送しているのは“練馬区”にゆかりの植物学者「牧野富太郎さんの生涯」の話ですが、今日はそのアーカイブの「ひらり」(平成4年…皆さんの生まれるずっと前の作品ですね)のワンシーンとそこで話されたセリフ(台詞)を取り上げます。
 そのシーン。二十歳のひらりと、ロンドンとシェークスピアの作品にあこがれる75歳の(ひらりの)おじいちゃんとの会話。ひらりは大好きな竜太先生(親しい街医者)に少しでも“一緒にいたい”という思いを伝えたいが相手にしてくれない。むしろ、自分に対する竜太先生からの冷たい扱い(と勝手に思っている)に“愚痴(グチ)”をいいながら、ロンドン行きを明日に控えたおじいちゃんの荷づくりの手伝いをする。
 その“グチ”に対しておじいちゃんは……「ひらりィ~、“男に頼らない!!”なんて、頑張ることはないけど……、いつでも前を向いて歩け!」 さらに、
「“よいこと”っていうのは~、必ず自分の前を通っていくもので後ろは通らないものなんだよ。…だから前を向いていないとよいことに気付かない。後ろ向きの人間によいことがないのはそういうことなんだ。」
 2学期の、皆さんの大切なリスタートの日に、私のお気に入りのドラマの台詞を例にするのは、いかがなものかと思いましたが、「よいことは自分の前を通る。後ろ向きの人はよいことは見えない」ということばは、世の中の喜怒哀楽を全て知っているのであろうこのおじいちゃんの、実に説得力のある表現ではないかと思ったわけです。まして住み慣れた自宅を離れ、その年にしてさらにイギリス文学を学ぼうとしている、といった(ドラマの)設定には「脚本家(内舘さん)には脱帽!」と思ったのです。いうまでもなく、若いひらりの、穏やかでないなげやりな心を少しですが前向きにしたワンシーンとなりました。
 さあ、今日から2学期スタートです。忙しくも、毎日を楽しく充実して、良いことが自分の前を通るように、前を向いて生活していきましょう。

令和5年度 第2学期BLEND始業式② 今そしてこれからの皆さんに大切なもの

 BLEND始業式の「式辞」第2弾です。この話は本校でのオープンスクールでの挨拶のなかで話したものですが、せっかくなので皆さんも共有して下さい。
 いきなりですが、皆さんは「認知能力」と「非認知能力」は知っていますか?テストのスコア、IQ等、数値で測れるものを「認知能力」と言います。一方、数値で測れるものに加えて(変えて)ものごとに取り組み姿勢や、心の内面の部分の能力を「非認知能力」と言っています。かつて「偏差値」をはじめとする数値によって「学力」の“ある・なし”をきめ、入試合否の大きな基準としていたわけです。もちろん、現在の入試でも「認知能力」をはかることは大切な要素のひとつです。
 しかし、私は長年教員をしてきて、今一番強く思うことがあります。それは、私たち“大人”(教員も保護者もという意味で)は、若者の「非認知能力」をどのようにはぐくみ、高めていくか、ということです。具体的な表現をすると例えば以下のようになります。
1 “自分自身”を理解する力
2 目標をもち、その目標に向かう力、そしてやり続ける力
3 困難(課題)に直面した時の乗り越える力
4 他者と上手に(仲良く?)かかわっていく力
5 心身の体調(状況)を、自身で管理できる力

自己基盤(自分軸)の形成
 若者は、特に皆さんのような中高生は“未来”を経験していないので、“未来”のことは分かりません。しかし、逆に“想像”し“創造”しようとすることができるということはとても素晴らしい。私はそう思います。さらに、周りの“よき大人”(ロールモデル)を見て、また様々な情報を収集し、自分の未来像が確固たるものにしていくことができれば、本当に素晴らしい。
 例えば、「こんなはずではなかった」と自分の描いてきた未来像が計算違いになったとしても、うまく修正したりして“立ち直る”事ができるようにするのも、この「自己基盤(自分軸)の形成」ができているか、というこことがとても大切だと思うわけです。
 そして、(繰り返しの表現になりますが)求められる「非認知能力」の一つひとつが、今作られているものでなく、実は“ものごころ”のつく幼少期から父母をはじめとするご家族や皆さんに近い大人たちにより、少しずつはぐくまれ、広く大きくなっていく“力”なのです。中学や高校に上がろうとしている受験生の皆さんにとっては、「非認知能力」つまり「自己基盤(自分軸)の形成」の現在進行形なのだといってよいと思います。
 さあ、皆さん。いよいよ2学期が始まりますね。 改めて、毎日の学校生活の授業をはじめとする様々な取組について、先ほどの1から5の力をつけるという観点で考えてみてください。中高生活の様々な取組を通して「非認知能力」を高め、自分軸を形成していく…少なくとも「自分の将来は自分で決めていくもの」という意識を確かなものにしていってほしいと思います。さあ、2学期です。たくさん学んでいきましょう。

体育祭、恒例「中学生のソーラン節」 体育祭、恒例「中学生のソーラン節」

 

 梅雨が明けてほしい時期、しかし明ければ猛暑がやってくる。そして「線状降水帯」も心配…そのような時期、もう7月ですね。7月といえば、私学中高は「定期考査」、公立に比して2週間遅れになります。ぜひ1学期最後の踏ん張りを見せてほしいと思います。
 ところで、今回は、6月の話題を2件、紹介させていただきたいブログになります。
ひとつ目の話題。6月17日(土)、体育祭が“猛暑”の中で実施しました。この時期、校舎外での教育活動で一番注意をしなければいけないのが「熱中症」。本校実施日の数日前には『埼玉県等の高校の体育祭でずいぶん大勢が熱中症で病院に搬送』と報道されていましたので、本校も大変心配でした。
 本校の体育祭は、(猛暑云々にかかわらず)短期集中!午前中(といっても閉会式は13時前でしたが…)で競技を終えるようになっています。それでも、あの猛暑の中では、熱中症によって「養護テント」に何名かはお世話になりましたが大事には至りませんでした。しかし、全体的には「凛々しく躍動する」生徒たちで人工芝のグラウンドは大変盛り上がりました。元気をあまり感じられなかった本校の体育祭(…「コロナ禍」を理由としたいところです…)が保護者の参観を交えて「参観者たちとともに元気やはつらつさ、笑顔を共有できた」ことは実にうれしい事でした。その躍動する生徒たちの様子を文章で表現できないのがとても残念ですが、生徒数が少しずつ増え、おとなしくつつましやかな体育祭から、(コロナから明けて~まだ明けていませんが~)「一人ひとりが躍動する生徒たち」に明らかに変わってきたことはとりわけうれしく思います。参考までに…開会式での選手宣誓を載せさせていただきます。ユニークながらもその日の生徒たちの様子が分かってくださる先生だったと思います。

宣誓!私が大統領になったら競技で不正するような人は〇〇〇にします!
私が大統領になったら「いや、たかが体育祭だろ~!」って誤魔化す人は、○○○します!
私たち選手一同は、スポーツマンシップにのっとり来年度のオリンピック出場を目標に〇〇〇により鍛え上げられたこの足で全力を尽くし、いつどの角度から学校のインスタに載せられても困らない顔立ちで正々堂々戦うことを誓います!!S2年 赤組団長 S M S2年 青組団長 M U     令和5年6月17日

もう一つの話題は…SDGsです。
「2030SDGs(カード)ゲーム」を行いました。毎年この6月に高校1年生で実施している実に楽しいゲームです。「授業でカードゲーム?」と思われるかもしれません。「2030SDGs(カード)ゲーム」とはこのようなゲームなのです。

 カードゲーム「2030 SDGs(ニイゼロサンゼロ エスディージーズ)」はSDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験するゲームです。さまざまな価値観や違う目標を持つ人がいる世界で、我々はどうやってSDGsの壮大なビジョンを実現していくのでしょうか。このゲームはSDGsの目標を1つ1つ細かく勉強するためのものではありません。「なぜSDGsが私たちの世界に必要なのか」、そして「それがあることによってどんな変化や可能性があるのか」を体験的に理解するためのゲームです。そのためSDGsという言葉を聞いたことがない人やあまり興味関心がない人でもゲームが持つとっつきやすさと面白さで知らず知らずのうちに熱中し、楽しみながらSDGsの本質を理解することができます。(一般社団法人イマココラボ)

 今、多くの小中学校、大学に至るまでSDGsについての学習や取組が定番的になっています。
本校でも、多くの教科や領域の学習の中でこのテーマが扱われています。私は、東京女子学院に赴任し、電車通勤時に車内の数名の方がつけている「スーツ姿の方々が襟につけている17色の円のバッチ」が気になったところからSDGsを知りました。(なんと情けない…)その後、改めて国連の加盟国(ウクライナもロシアももちろんはいる)の全会一致で採択した壮大で綿密なこのテーマを知るうちに、「SDGs達成のために、わたしが、今、この立場でできることは何なのか?」ということを考えはじめました。そして、ある時、「SDGsの本質をカードゲームで楽しく学ぼう」という取組がありそこに参加しました。そこで、「SDGsをこんなにも楽しく深く学べるなんて、信じられない。まさしくアクティブラーニングではないか!」と感激したのです。そして、「達成のために、私にできることのひとつはこのカードゲームを手に入れて、直接生徒たちに体験させること」と決め研修(4日間)を受けました。そしてこの体験会を開催することのできる「公認ファシリテーター」になったのです。
このゲーム体験による振り返りの中で貴重な個々の学びを示している生徒が大勢いました。ほんの一部ですが、いくつか紹介します。

◎現実の世界のつながりにも触れたいま、改めて気づきや感想を共有してみましょう。

1組Aさん

最終的には(ゴール目標が)達成できたけれど、時間やお金が足りなくて達成できないかもと 思っていました。しかし、時間やお金が足りないのはどこのチームも一緒で、協力が必要なんだ」ということを痛感しました。これは現実でも同じだと思います。お金が足りないのも、時間が足りないのもどこの国もどの地域も一緒だと思います。だからこそ協力がとても大切だと…また、私の実行したプロジェクトによって、あるチームはプロジェクトを実行できたり、あるチームでは実行できなかったところを目にしました。めぐりめぐって、私たちの行動はつながっていると思いました。 しかし、動かないより動いた方が世の中は動きます。私が起こした行動はめぐりめぐって、“吉”と出るかもしれません。私も世の中の起点となれるよう動きたいです。

1組Bさん

はじめは「自分のゴール」を目指して、他のことに目を向けられていなかったと思います。今考えてみれば、クラスで作り上げる世界なら、クラスで協力しなければ意味がないと感じました。ゲームでは、世界の状況が見えますが、現実では、知らない人がほとんどで、私もその1人だと思います。人にはそれぞれ考え方があり、 各国の目指すものだって違うと思います。ですが、みんな同じ星に住み、同じ問題をかかえています。どんなことも、1つの国ではすまされず、継がっているとよくわかりました。何がどういった所に影響を及ぼすのか、考えてこれからの未来を変えられる人、それに貢献できる人でありたいです。

4組Cさん

まずは、SDGsの意味について「未来に向けた持続的に可能な目標」というあいまいな感じでしたが、「未来の人達に負担にならないようにしつつ、問題を解決していくため」というより具体的な 意識に変わりました。また、ゲームを通して自分の目標をクリアしつつも、世のためのミッションを行っていくという難しさを学びました。(自分の目標だけでも世のためだけでも生きていくのは難しいので、バランスよく要領良くできるように 頑張りたいです。)国や人、場所によって様々結果が現れることが非常に興味深かったです。そして、先生が紹介してくださった「ソトコト」「SDGsの大嘘」も読みたいです。

4組Dさん

目標を達成しても、それ以上に集めたり人にあげたりと、目標が達成した後にも、人の考え方により、さまざまな違いがあった。それと同じことが、世界の国や人でおこっていると思うと、あらためてSDGsの難しさを実感することが出来ました。

4組Eさん

私はこのゲームを終えてみて、自分の得だけを考えるだけでなく、 世界の状況を見て、互いに協力しあうことが大切であると気がつきました また、互いに必要なもの、あまっているものを交換したりすることにより、 世界が全体的にうまくいくというふうに感じました。だから、私は自分でどうにもできないと思ったことでも、あきらめないことが大切だと感じました。

2組Fさん

SDGは中学校の頃から学ぶ場をもうけられていたが 世界には色々な価値観をもつ国、人、文化などがあり、この世界共通の17項目を達成するには全世界の意識が必要不可決であるとより知ることができた。ただ、時代によって別の問題が新しく出て(きて)しまったり、それぞれの国など、個別個別で問題をかかえてしまったりしまうわけで 皆が皆賛同し全世界総力をあげてSDGSに向きあうのはとても難しいことだと思う。それにSDGs17項目1つ1つにも様々なとらえかたがあり、皆がそうすべきと思っているわけではないのではとも思う。けれど近年ではLGBTや環境問題などの議論や問題にふれる場面がよくあるので人々の考え方も変化しつつあると思う。これからの世界自に何かできるのか考えていきたい

2組Gさん

中学の時に、校外学習や修学旅行などで関連して考えたりしていたけれど、協力して達成するという事はやった事がなくて協力する事が大切という事に改めて気付きました。現実の世界は他の人までに気がいかず自分にいっぱいいっぱいな人が多いのかなと思いました。

パーム油の状況などから、便利になると何かがなくなってしまったりと今の地球温暖化へとなっているんだなと思いました。1つの物に1つの事で大きな問題へとつながってしまっている事がわかりました。どこかの国が便利だったりしてもその逆にそのせいなどで苦労している人がいて、たしかにドミノ倒しだなと思いました。考え方が少しでも変わると、行動も変わってくるのかなと思いました。自分もふくめて、自分の良い方しか考えられていない時もあったりしてこれから、周りとかにも目を向けて見てみたいと思います。

3組Hさん

ゲームを通して、参加している人の考えがちがうと、世界全体に影響し 1人1人の考えが大切だと思った。ゲームだけではなく、現実の世界でも、1人1人の意識で世界を変えることができるということを学んだ。そして、 自分が動くことでまわりも動いてくれるという組織のしくみに改めて気づけた

3組Iさん

自分が達成したいゴールだけを見てプロジェクトを進めると気づかないうちに経済だけうるおって環境が悪くなってしまったり、タイマーで決めた時間内におさまらなかったりしたから、SDGsも2030年までに達成することができるのか、また、達成できたとしても、その時の世界はどうなって いるのだろうかと疑問に思った。

 

3組Jさん

私はいままでは自分の得、損で考えていたので世界に目を向けることや人の事を考えることが少なかった。だがこのゲームでSDGsは身近な助け合いからなっているのだと思った。また私自身の考えも変えることができた。

 高校1年生にとって、これからの「3年間の生活や学習」の中で、SDGsについては直接間接にかならずかかわっていかなければならないものです。その意味では、「大学等次のステージへの進路」という限定的な方向性でなく、“若者たち”がこれから生きていくうえでの重要かつ壮大なテーマであることを自覚してくれたら、「校長ファシリテーター」の意義があったと思います。“振り返り”での最初と最後に示したスライドの文言を紹介して今回のチョー“長い”ブログを終わります。

◎Think globally act locally「地球規模で考え 身近なところから行動しよう」

◎今日のゲームでも私たち一人ひとりの行動が起点になって今日の世界が創り出されました。

 つまり世界はつながっていました。

写真①季節外れに雪が降っているみたいな「ヤマボウシ」 写真①季節外れに雪が降っているみたいな「ヤマボウシ」

 皆様ごきげんよう。いきなりですが皆さん、“ヤマボウシ”(写真①)という樹木をご存じでしょうか?

 ホームページ校長ブログをはじめて開けてくださった方には大変失礼かと思いますが、今回はちょっと面白い(?)エピソードを紹介してこの駄文をはじめます。
私(校長)「I先生、ハナミズキは本来4月下旬ですよね。遅ればせのハナミズキが咲いていますね。」
I先生「校長先生、あれは“ヤマボウシ”という花ですよ。よく似ているから間違えますね」
私「へ~、”ヤマボウシ“ね…。」
I先生「2階の教室から見るとステキですよ。一面に雪が降っているみたいに…」
 本校のI先生は、本校にあるすべての樹木・植物の名を知っている教員です。大げさな表現ではありません。まるで、今NHK朝ドラで放送している「牧野富太郎」(朝ドラでは槙野万太郎)のようです。私は、“テレビっ子”世代ですので、録画機能がついたテレビを購入以来、ず~ッと録画したものを毎日”夜“見ています。そう、牧野富太郎さんは、94歳で亡くなられるまで30年間練馬区で過ごした方だったのですね。(練馬区立牧野記念庭園)さらにさらに、何と!本校の図書室には牧野さんがすべてスケッチした「増補版 牧野 日本植物図鑑」(写真②)が所蔵されています。(この本も、I先生が校長室にもってきて紹介してくれました。ものすごく貴重な本です)
 ところで、「雑草という名の草は無い」は牧野富太郎の有名な言葉です。こよなく植物を愛し、その研究に一生をかけ、自身が「好きなこと」を貫き通した。すばらしいしうらやましい一生と思います。この「雑草という名の…」という考えを、“教育活動”や“人材育成”という観点であてはめてみると、簡単な言葉のようで実に奥深い、そのような思いになりました。子どもたちには(当たり前ですが)それぞれ名前があり個性・特性がある。ハナミズキとヤマボウシがそれぞれ違うように…。その個性や特性を大人(教員や保護者)が、しっかり認めることから教育活動(含:子育て)を進めていく。その「しっかり認める」を、私たちはできているのだろうか、そう自問するのです。
 本校の樹木・植物の話に戻します。今、西門のところのタチアオイ(写真③)がとてもきれいです。またエントランスの手前には柏葉アジサイ(写真④)が雨に濡れながらしっとり咲き出しました。その隣にはバイカウツギ(写真⑤)がとてもかわいく咲いています。この花は、かわいいですが、気品を感じる純白さ、花の香りがふんわりとやわらかく甘いのです。  
 あわただしかった1学期前半、中間テストも終わり教育活動もいよいよ充実の1学期後半です。5月27日土曜日より“学校説明会”が行われます。受験生の皆さんには、本校の生徒たちのすがたも見ていただきながら、たくさんの花々を確認して、“お気に入り”を見つけてくださいね。次回は、(牧野さんも生き返ってくるのでは…?と思うような、本校体育館北側の湿地帯の「野草」について紹介します。

 

 さて、以下は5月10日に実施した「講堂朝礼」で私(校長)が生徒に話をした内容です。ご参考までにお時間がありましたらお読みください。

5月10日講堂朝礼「 皆さんに期待すること・・・Be a Global Citizen 」

 先日ようやく来年度受験用のパンフレットの原稿が出来上がりました。あとは印刷に出すだけです。撮影協力をしてくれた皆さんには私から改めてお礼を言います。本当にありがとうございました。 

 ちなみに、今年度の表紙のことばは、昨年度までと一緒で「Be a Global Citizen」です。そしてその意味は「地球社会の一員として国際社会に貢献できる女性(ひと)になろう」という意味です。育てたい皆さんの“姿”をずいぶん大きくとらえています。「グローバル」ということばが「学校教育の中で頻繁に使われだしたのは、たぶん皆さんの保護者の方々が生徒だったころ、1990年代です。

 ところで、私が校長として「グローバル」ということばを意識し始めたのは、恥ずかしながらついこの間(といっても今から12年以上前ですが)です。ある方の講演を聞いた時からです。ある方とは橘・フクシマ・咲江”という女性、その当時(2011年ごろ)アメリカのビジネスウイーク誌に「世界で最も影響力のあるヘッドハンタートップ50人」に、唯一の日本人として選ばれた方です。

 橘さんはその講演の中で「グローバルな人になるための基本を次のようにお話ししています。テーマは「中学生に期待すること」ですが、高校生の皆さんにとっても、実に深く理解ができることです

グローバルなコミュニケーション能力を培うことは皆さん(中学生)にとってとても大切であること、具体的には例えば「Aさんはアメリカ人だから○○だ・・とはじめから決めつけないこと」、「きれいな言葉はていねいな気持ちをつくること」などです。そして、その「グローバルな人」になるには、次のような考え方や行動が大切だ、とお話しくださいました。

それは・・・

○自分のしたことは自分で責任をとる(自律・自立)・・・失敗を人のせいにしない

○マニュアルに頼らない(自律・自立)・・・自分と人は違うので、マニュアル通りにはならない

○何でもやってみる(前向き)・・・むだな経験はない やってみなければ分からない

○成功の人生・キャリアは自分で作る(自律・自立)・・・会社や他の人は責任をもてない

○「できない」理由を考える前に、「どうやるか」を考える (前向き)・・・創造的問題解決能力を育てる

○人と競争するより、昨日の自分と競争する・・・他の人にはなれない、毎日新しいことを学んで、昨日より賢くなる

 

 皆さん、この場で何回も言っていますが、BLENDに挙げますので、ぜひ、読み返してくださいね。皆さんのこれからの前を向いた生活の中で、指針(取るべき態度や進むべき方向を示す方針)となる表現があったらうれしいです。

 (中略)

 このスライドも入学前に、学校説明会の中でいったことです。皆さんが、この東京女子学院で生活する究極の目標は「自分らしさを追い求め、 自立した学習者」になることだと思います。そして “私らしい私 君らしい君”になるためには、今、話をした「グローバルな人になる」ことと共通性がたくさんあると思います。以上で5月の講堂朝礼の話とします。