東京女子学院お宝発見!浮世絵シリーズ 9回目

浮世絵作品の紹介⑦
「猿若町夜の景」

 歌舞伎ファンなら櫓が屋根にあることから幕府公認の芝居小屋であることが分かります。江戸の名物は「喧嘩と火事」といわれた当時、火災を機に市中にあった芝居小屋がここに移されました。それが画題の「猿若町」です。江戸歌舞伎の創始者、猿若勘三郎が町名の由来です。
 芝居見物を終えた人々が、その余韻にひたりつつ家路につこうとしています。満月の月明かりによって影が伸び、秋の夜の物寂しさと芝居小屋の内部の華やかさが対照的に表現されています。その他にも建物が西洋由来の遠近法で描かれ、月の位置は空の高さを感じさせてくれます。

 

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