学校の教室には昔ながらの木の小さな丸椅子があります。一応、先生用という事になっています。もうずいぶん古びているし、授業中に先生は座らないし、役目としては荷物おきといったところでしょうか。しかしよく見れば昔の職人さんが腕によりをかけてつくった物のようで、よい仕事がなされている。

　長年使われ続け、色も黒ずんでしまったものに、休日をつかって紙ヤスリをかけてみると美しい木目が復活しました。そこに塗料を塗れば見違えます。

教室における木の丸椅子は脇役かもしれません。しかし、脇役には主役を輝かせる役割があります。脇のものへの心配りが失われつつある現代ですが、どんなものにも、誰にもよいものが、役割がある。心したいところです。丸椅子が教えてくれました。