東京女子学院お宝発見!浮世絵シリーズ 8回目
浮世絵作品の紹介⑥
「両国花火」
現在も夏の最大の行事である「隅田川花火大会」。その前身である両国の花火がこの浮世絵のテーマです。画面下の両国橋は、武蔵国と下総国の2つの国に架けられていたことからその名が付けられ、当時この場所は江戸屈指の繁華地でした。放物線を描き落ちていく花火と、爆発した花火が星のように輝き、夜空明るく照らし出している表現は今にも音が聞こえてきそうです。
花火は、納涼の一大イベントとして、川開きと川仕舞いに行われていました。現在でも川に納涼の屋形船が所狭しと浮かび、昔も今も変わりません。
当時は、花火の打ち上げを両国橋上流が「玉屋」、下流を「鍵屋」が担当していたことから、両国橋ごしに左岸を望むこの花火は「鍵屋」のものと考えられるそうです。
花火といえば、夏。しかしこの作品は川仕舞いのようすのため、シリーズをセットで販売するためにつくられた目録では、秋に分類されています。