東京女子学院お宝発見!浮世絵シリーズ4回目

浮世絵作品の紹介③
「武州玉川」

 玉川は現在の多摩川のことで、画面には六郷の渡し(駅伝で有名になった六郷橋 大田区南端)が描かれています。この作品で注目して欲しいのは、摺師が水分の調節で行うぼかしなどの技術で、特に美しいのが川面の水の表現です。水面が白く輝いているように濃淡をつけ、さざなみを空摺りで表現しています。空摺りは絵の具をつけないで摺る技術で、そのため紙の良し悪しも出来栄えに影響します。今回展示している浮世絵の和紙は、人間国宝、岩野市兵衛氏の和紙(越前生漉奉書紙)です。1枚の作品に多くの技が潜んでいることや、江戸時代の分業の素晴らしさを垣間見ることができます。 
 また、この作品を選んだ理由は、涼しげなことのほか、生徒が通ってくる、地域(東京西部 多摩地域)には玉川の恵や文化があることに目を向けて欲しいこと、そして馬や舟が当時の物資運搬に重要だったことなどです。

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