

梅雨が明けてほしい時期、しかし明ければ猛暑がやってくる。そして「線状降水帯」も心配…そのような時期、もう7月ですね。7月といえば、私学中高は「定期考査」、公立に比して2週間遅れになります。ぜひ1学期最後の踏ん張りを見せてほしいと思います。
ところで、今回は、6月の話題を2件、紹介させていただきたいブログになります。
ひとつ目の話題。6月17日(土)、体育祭が“猛暑”の中で実施しました。この時期、校舎外での教育活動で一番注意をしなければいけないのが「熱中症」。本校実施日の数日前には『埼玉県等の高校の体育祭でずいぶん大勢が熱中症で病院に搬送』と報道されていましたので、本校も大変心配でした。
本校の体育祭は、(猛暑云々にかかわらず)短期集中!午前中(といっても閉会式は13時前でしたが…)で競技を終えるようになっています。それでも、あの猛暑の中では、熱中症によって「養護テント」に何名かはお世話になりましたが大事には至りませんでした。しかし、全体的には「凛々しく躍動する」生徒たちで人工芝のグラウンドは大変盛り上がりました。元気をあまり感じられなかった本校の体育祭(…「コロナ禍」を理由としたいところです…)が保護者の参観を交えて「参観者たちとともに元気やはつらつさ、笑顔を共有できた」ことは実にうれしい事でした。その躍動する生徒たちの様子を文章で表現できないのがとても残念ですが、生徒数が少しずつ増え、おとなしくつつましやかな体育祭から、(コロナから明けて~まだ明けていませんが~)「一人ひとりが躍動する生徒たち」に明らかに変わってきたことはとりわけうれしく思います。参考までに…開会式での選手宣誓を載せさせていただきます。ユニークながらもその日の生徒たちの様子が分かってくださる先生だったと思います。
宣誓!私が大統領になったら競技で不正するような人は〇〇〇にします! |
もう一つの話題は…SDGsです。
「2030SDGs(カード)ゲーム」を行いました。毎年この6月に高校1年生で実施している実に楽しいゲームです。「授業でカードゲーム?」と思われるかもしれません。「2030SDGs(カード)ゲーム」とはこのようなゲームなのです。
カードゲーム「2030 SDGs(ニイゼロサンゼロ エスディージーズ)」はSDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験するゲームです。さまざまな価値観や違う目標を持つ人がいる世界で、我々はどうやってSDGsの壮大なビジョンを実現していくのでしょうか。このゲームはSDGsの目標を1つ1つ細かく勉強するためのものではありません。「なぜSDGsが私たちの世界に必要なのか」、そして「それがあることによってどんな変化や可能性があるのか」を体験的に理解するためのゲームです。そのためSDGsという言葉を聞いたことがない人やあまり興味関心がない人でもゲームが持つとっつきやすさと面白さで知らず知らずのうちに熱中し、楽しみながらSDGsの本質を理解することができます。(一般社団法人イマココラボ) |
今、多くの小中学校、大学に至るまでSDGsについての学習や取組が定番的になっています。
本校でも、多くの教科や領域の学習の中でこのテーマが扱われています。私は、東京女子学院に赴任し、電車通勤時に車内の数名の方がつけている「スーツ姿の方々が襟につけている17色の円のバッチ」が気になったところからSDGsを知りました。(なんと情けない…)その後、改めて国連の加盟国(ウクライナもロシアももちろんはいる)の全会一致で採択した壮大で綿密なこのテーマを知るうちに、「SDGs達成のために、わたしが、今、この立場でできることは何なのか?」ということを考えはじめました。そして、ある時、「SDGsの本質をカードゲームで楽しく学ぼう」という取組がありそこに参加しました。そこで、「SDGsをこんなにも楽しく深く学べるなんて、信じられない。まさしくアクティブラーニングではないか!」と感激したのです。そして、「達成のために、私にできることのひとつはこのカードゲームを手に入れて、直接生徒たちに体験させること」と決め研修(4日間)を受けました。そしてこの体験会を開催することのできる「公認ファシリテーター」になったのです。
このゲーム体験による振り返りの中で貴重な個々の学びを示している生徒が大勢いました。ほんの一部ですが、いくつか紹介します。
◎現実の世界のつながりにも触れたいま、改めて気づきや感想を共有してみましょう。
1組Aさん 最終的には(ゴール目標が)達成できたけれど、時間やお金が足りなくて達成できないかもと 思っていました。しかし、時間やお金が足りないのはどこのチームも一緒で、協力が必要なんだ」ということを痛感しました。これは現実でも同じだと思います。お金が足りないのも、時間が足りないのもどこの国もどの地域も一緒だと思います。だからこそ協力がとても大切だと…また、私の実行したプロジェクトによって、あるチームはプロジェクトを実行できたり、あるチームでは実行できなかったところを目にしました。めぐりめぐって、私たちの行動はつながっていると思いました。 しかし、動かないより動いた方が世の中は動きます。私が起こした行動はめぐりめぐって、“吉”と出るかもしれません。私も世の中の起点となれるよう動きたいです。 |
1組Bさん はじめは「自分のゴール」を目指して、他のことに目を向けられていなかったと思います。今考えてみれば、クラスで作り上げる世界なら、クラスで協力しなければ意味がないと感じました。ゲームでは、世界の状況が見えますが、現実では、知らない人がほとんどで、私もその1人だと思います。人にはそれぞれ考え方があり、 各国の目指すものだって違うと思います。ですが、みんな同じ星に住み、同じ問題をかかえています。どんなことも、1つの国ではすまされず、継がっているとよくわかりました。何がどういった所に影響を及ぼすのか、考えてこれからの未来を変えられる人、それに貢献できる人でありたいです。 |
4組Cさん まずは、SDGsの意味について「未来に向けた持続的に可能な目標」というあいまいな感じでしたが、「未来の人達に負担にならないようにしつつ、問題を解決していくため」というより具体的な 意識に変わりました。また、ゲームを通して自分の目標をクリアしつつも、世のためのミッションを行っていくという難しさを学びました。(自分の目標だけでも世のためだけでも生きていくのは難しいので、バランスよく要領良くできるように 頑張りたいです。)国や人、場所によって様々結果が現れることが非常に興味深かったです。そして、先生が紹介してくださった「ソトコト」「SDGsの大嘘」も読みたいです。 |
4組Dさん 目標を達成しても、それ以上に集めたり人にあげたりと、目標が達成した後にも、人の考え方により、さまざまな違いがあった。それと同じことが、世界の国や人でおこっていると思うと、あらためてSDGsの難しさを実感することが出来ました。 |
4組Eさん 私はこのゲームを終えてみて、自分の得だけを考えるだけでなく、 世界の状況を見て、互いに協力しあうことが大切であると気がつきました また、互いに必要なもの、あまっているものを交換したりすることにより、 世界が全体的にうまくいくというふうに感じました。だから、私は自分でどうにもできないと思ったことでも、あきらめないことが大切だと感じました。 |
2組Fさん SDGは中学校の頃から学ぶ場をもうけられていたが 世界には色々な価値観をもつ国、人、文化などがあり、この世界共通の17項目を達成するには全世界の意識が必要不可決であるとより知ることができた。ただ、時代によって別の問題が新しく出て(きて)しまったり、それぞれの国など、個別個別で問題をかかえてしまったりしまうわけで 皆が皆賛同し全世界総力をあげてSDGSに向きあうのはとても難しいことだと思う。それにSDGs17項目1つ1つにも様々なとらえかたがあり、皆がそうすべきと思っているわけではないのではとも思う。けれど近年ではLGBTや環境問題などの議論や問題にふれる場面がよくあるので人々の考え方も変化しつつあると思う。これからの世界自に何かできるのか考えていきたい |
2組Gさん 中学の時に、校外学習や修学旅行などで関連して考えたりしていたけれど、協力して達成するという事はやった事がなくて協力する事が大切という事に改めて気付きました。現実の世界は他の人までに気がいかず自分にいっぱいいっぱいな人が多いのかなと思いました。 パーム油の状況などから、便利になると何かがなくなってしまったりと今の地球温暖化へとなっているんだなと思いました。1つの物に1つの事で大きな問題へとつながってしまっている事がわかりました。どこかの国が便利だったりしてもその逆にそのせいなどで苦労している人がいて、たしかにドミノ倒しだなと思いました。考え方が少しでも変わると、行動も変わってくるのかなと思いました。自分もふくめて、自分の良い方しか考えられていない時もあったりしてこれから、周りとかにも目を向けて見てみたいと思います。 |
3組Hさん ゲームを通して、参加している人の考えがちがうと、世界全体に影響し 1人1人の考えが大切だと思った。ゲームだけではなく、現実の世界でも、1人1人の意識で世界を変えることができるということを学んだ。そして、 自分が動くことでまわりも動いてくれるという組織のしくみに改めて気づけた |
3組Iさん 自分が達成したいゴールだけを見てプロジェクトを進めると気づかないうちに経済だけうるおって環境が悪くなってしまったり、タイマーで決めた時間内におさまらなかったりしたから、SDGsも2030年までに達成することができるのか、また、達成できたとしても、その時の世界はどうなって いるのだろうかと疑問に思った。
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3組Jさん 私はいままでは自分の得、損で考えていたので世界に目を向けることや人の事を考えることが少なかった。だがこのゲームでSDGsは身近な助け合いからなっているのだと思った。また私自身の考えも変えることができた。 |
高校1年生にとって、これからの「3年間の生活や学習」の中で、SDGsについては直接間接にかならずかかわっていかなければならないものです。その意味では、「大学等次のステージへの進路」という限定的な方向性でなく、“若者たち”がこれから生きていくうえでの重要かつ壮大なテーマであることを自覚してくれたら、「校長ファシリテーター」の意義があったと思います。“振り返り”での最初と最後に示したスライドの文言を紹介して今回のチョー“長い”ブログを終わります。
◎Think globally act locally「地球規模で考え 身近なところから行動しよう」
◎今日のゲームでも私たち一人ひとりの行動が起点になって今日の世界が創り出されました。
つまり世界はつながっていました。