「冬来たりなば 春遠からじ」本校エントランスの大きな”梅花”の生け花に迎えられて、卒業式が挙行されました。マスクもいよいよ”任意”になるようです。3年間、歌わなかった本校の(素敵な)校歌、歌詞を見ながらの小さな歌声、そのさみしさもある中でピアノ伴奏で終わった昨年度までよりも、少しコロナ前を取り戻しました。 「冬来たりなば 春遠からじ」本校エントランスの大きな”梅花”の生け花に迎えられて、卒業式が挙行されました。マスクもいよいよ”任意”になるようです。3年間、歌わなかった本校の(素敵な)校歌、歌詞を見ながらの小さな歌声、そのさみしさもある中でピアノ伴奏で終わった昨年度までよりも、少しコロナ前を取り戻しました。

皆さんごきげんよう。久しぶりのブログ更新です。お隣のお寺の梅花が満開になりました。校内の早咲きの河津桜も…。先日、高校卒業式を挙行しました。前日の予行で全校生徒が一堂に会し、そこでも最後の校長からのスピーチをしました。

 

式辞

 

 はじめに・・・PTA会長 ○○様、同窓会会長 △△様には公私ご多用のところ、ご臨席賜り誠にありがとうございます。また物心両面にわたるご協力・ご援助に対し心より御礼申し上げます。 

 さて・・「冬来たりなば春遠からじ」ようやくそこここに春の気配を感じるようになりました。

 卒業生の皆さん。いきなりですが、3年前を思い出しましょう。中学校でまともな“卒業式”ができず証書だけを受け取って義務教育を終え、本校に入学しても“式”は行われなかった。しかも「Stay home」を2か月も強いられた。そんな3年間のスタートでした。

「There is always light behind the clouds.」

6月、梅雨に入っての「入学式」で私は今の言葉を紹介しました。このことば、世界中で愛され続ける大ベストセラー作家、ルイーザ・メイ・オルコットのことばです。今日は、このことばとオールコットの書いた小説「若草物語」をベースにした映画を取り上げて、私の式辞といたします。

 3年前の春休み、ある映画が封切り直前に、コロナのために延期されました。その映画とは「Story of My life」(私の「若草物語」)という映画です。

 実は、入学式でこの映画を話題にしようと思ったのですが、映画を見られなかったので、この有名なことばだけを紹介したのです。そして皆さんの“休校期間”が解けるころ、改めて封切りされたので、私にとってこの映画はとても印象深いのです。何と、その年のアカデミー賞の衣装デザイン賞を獲得しているのですよ。

 皆さんの中には、幼少期「若草物語」を楽しく読んだ人がいるかもしれません。アメリカ人にとってはこの物語が人生に寄り添うほどとても重要な作品で、クリスマスシーズンになるとテレビで放送される映画の必須作品のひとつです。

 それは1860年代、アメリカ南北戦争中のある家族「マーチ家」の四姉妹の物語です。長女メグは女優を夢見、次女ジョーは作家になりたい。三女ベスはピアノが上手いが病弱、そして四女エイミーは画家になりたい。日常生活のなかの他愛もない事で喧嘩したり、時には助け合ったり、“女の子”がそれぞれ“女性”に成長し、4人が4人とも個性豊かに、そして将来への葛藤を様々に持ちながらも、常にポジティブに生きようとし、めぐるチャンスを活かして夢を実現していくのです。三女のベスは病気がもとで若くして亡くなりますが、それでも自分の生を誰かのために全うしていく姿はとても感動を呼びます。はい、長々と映画の紹介をしました。

 卒業する皆さん。かなり時代遅れの言い方になりますが、この映画で描かれた時代は「女性は家事や育児だけをしていれば良いという時代」でした。その中での彼女たちの生き方の選択には実に現在に通じるものがあります。もちろん今は大きく変化し、例えば「夫婦別姓」の問題や「性差別やジェンダー平等」についても、今まさに大きな社会問題のひとつにさえなっています。今年度の本校のパンフレットには「Be  a  Global Citizen 国際社会に貢献できる女性へ」の“女性”を“ひと”とフリガナを振っています。

 改めて、皆さん、「Stay Home」で始まった高校生活が、3年の時を経て、マスクを取って生活できる日までもう少しとなりました。東京女子学院で6年間・3年間を送った皆さん姉妹たちが「マーチ家」の四姉妹のように次のステージで “女性”と書いて“ひと”と表現できるような一人ひとりの生活のスタンスをもってくれたら、と願うばかりです。

 映画の最初のシーンに戻ります。主役の次女ジョーはまさに作者オールコットを投影しているのですが、出版社に自分の作品をもっていき編集長に原稿を見てもらいます。いくつか注文を付けられますが、原稿を何とか買ってもらいます。女が走ることはふしだらだと言われていた時代、ジョーは喜び勇んで人ごみのなかを走り出します。女性らしいとか女性はこうであるべきなどという慣習を取っ払って、この時の喜び溢れる顔はとても素敵、まるで、雲の上の“青空”のような明るさを発揮するのです。皆さん、大学などの次のステージに行く前にぜひこの映画を見てほしい、そのように思います。

 改めて、私は皆さんには、折に触れて「真の自分らしさとは何か」とか「ポジティブに考える」ということを努めて訴えてきたつもりです。それは「悩み多き思春期」から「生き方を選んでいく青年期」のこれからの人生にとって一番大切なキーワードだと思うからです。これからの生活の中で人間関係等様々なことで、うまくいく時もあれば躓いてしまうこともある。いや、うまくいかないときが必ずある。しかし、

「There is always light behind the clouds.」

このことばを頭のどこかにおいて、自立した素敵な女性に成長しほしい。そう思います。

 保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。思えば、小学校からの12年間におよぶ「児童・生徒の保護者」を終わることに、一抹の寂しさとともに、お嬢様以上の感慨をお持ちなのではないでしょうか。しかし、「保護者」としてもひとつの区切りとはいえ、お嬢様が真に自立した成人女性になるには「大人の先輩」としての支えが必要であると思います。どうか、“我が娘”の卒業を祝うとともに「18歳成人」の在り方を見守っていただきたいと思います。

 そして、6年間・3年間、本校の取組に対して物心両面のご支援とご協力をいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

さて、卒業する皆さん、さあ、いよいよお別れです。

 皆さんは、「コロナ」のなかでのできることを工夫して精一杯やってきた。その自信と誇りをもって、次のステージで、自分らしさを発揮して活躍してほしい、人生百年時代の社会の中で、それぞれの持ち場で貢献してほしい、そう願っています。卒業する皆さん、最後の最後に・・ちょっとやそっとじゃへこたれない、落ち込まない、たくましく生きるタフな女性になりましょう。そして、お互いがんばりましょう。

卒業していく皆さん。いつまでも応援しています。

令和五年三月吉日 東京女子学院高等学校 校長 野口潔人

 

「卒業式予行」に際しての話

1 「予行」ということですが、「全校生徒が一堂に会す」ということは、この予行が最後になります。卒業生だけではなく在校生含めての本年度の私の最後の講話とします。少し話す時間をください。

2 「冬 来たりなば 春遠からじ 」皆さん、1月のことを思い出してください。

3 1月の最終週、最低気温がマイナスを記録する日が続きましたね。私は、あまり寒暖を気にしない体質なのですが、それでもあのときの寒さは堪えましたね。校長室にストーブを入れたのは、その時からでした。「いやぁ~寒いね、自転車登校つらいな」 「寒くて×2、授業中震えていました」皆さんもきっとこんなつぶやきがそこここであったでしょう。

4 「冬 来たりなば 春遠からじ。」

この言葉、日本や中国のことわざのようにも思えますが、実は、英国詩人シェリーの詩の一節なのです。寒く厳しい冬が来たならば、暖かな春の訪れもそう遠くはない、ということから「たとえ、つらい状況にあっても、耐え忍んでいればやがて幸せなときもめぐってくる」という意味で使われます。

 

5 「冬 来たりなば 春遠からじ」

あの寒かった時に、私はこのことばをふと思い出しました。「このことば、ずいぶん安易だな…」と思う一方で「究極の“ポジティブ”な発想では?」とも思ったのです。そして、私たちの“今”と“これから”の生きていくスタンスにしたい、と思ったのです。

 

6 そう、“今”と“これから”の時代は、※「VUCAの時代」ともいわれます。(一度、“講堂朝礼”で話しましたね。VUCAとは、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の英語の頭文字をつなげたことばです。)

 

これを聞くと、皆さんの活躍するこれからの社会はお先真っ暗なのかと不安にさいなまれる?「こんなはずではなかったぁ~」と嘆いても、捉え方によっては「経験していないからワクワクだね!」と思えるかもしれない。そう思えたらステキ、そんなポジティブな発想・思考をこれからのステージで獲得してほしい。

 

7 ところで…3年生の皆さん。いよいよ卒業ですね。「コロナ」から…あの“6月入学式”からはや3年。4月・5月の「スティホーム」…そうそう、そのステイホームの“一日一日”はとても長く感じたが、この3年の短かったこと…。皆さんは、この“矛盾”を肌で実感しているのでは?と思います。「3密回避、換気だ!」「黙食、大声でしゃべるな!」「留学に行けなかった」「コロナに罹って修学旅行にいけなかった、一緒に帰ってこられなくなった」「部活の試合が、楽しい行事が……延期・中止」

 

一人ひとり(たぶん)ネガティブな思い出があったでしょう。コロナだけでなく、親との意見の食い違いとか、お友達との関係がうまくいかなかったり、成績が思うように伸びなかったり、なぜだかわからないけど、イライラしたり、やる気が出なかったりでも、いよいよ、コロナ終息をイメージして、そして「必ず春になる」ことをイメージして、ポジティブな発想・思考を獲得してほしい。そう思うのです。 

 

8 Well-Being、誰もがしあわせになる因子(要素)の4つ。

 

「やってみよう」因子・「ありがとう」因子・「なんとかなる」因子・「ありのまま」因子これもどこかで話ししましたが、この4つの要素=因子を少しでも具現化させたい。人生は一回きり。VUCA時代の君の人生も一回きり。いつの時代でも、結局はポジティブでアクティブな発想・思考が私たち人間を救ってきたのだ、と私は思うのです。

 

9 在校生の皆さん、私は教員になってこの「東京女子学院」でちょうど10校目の学校です。どこの学校にいても、私はいつも「3年生がよい学校は、よい学校」と思っていましたし、激励の意味も込めて折に触れてそう言っていました。「3年生がよい学校は、よい学校」それは、「下級生よりも良いとか悪い」とかいうことでなく、3年間・6年間でよりよく成長していく、ということです。明日、卒業する高校3年生は、このことを、実によく実践してくれた、具現化してくれた、そのように思います。 

 

10 在校生の皆さん、ぜひ部活や委員会、行事や日々の学校生活の中で、「3年生がよい学校はよい学校」このことを引き継いでいってくださいね。そのような気持ちを心の片隅において、来週からの「学年末考査」のために、明日はしっかり「自宅学習」をしてくださいね。

 

以上で、予行での校長からの話とします。

 収穫した「練馬大根」をもっての撮影、調理室前後ろには、三國シェフのサイン入り色紙があります。。今回、私、恥ずかしながら写真を載せさせていただきました。「けっこう重たいですね~」
 基本的な感染対策を施して、また自分の作ったものだけを自分で食するという「コロナ」の収まらない中での調理実習です。まあ、大人の”試食”については例外として、許可?しました。生徒の皆さん、とびきりおいしかったのですよ!
 収穫した「練馬大根」をもっての撮影、調理室前後ろには、三國シェフのサイン入り色紙があります。。今回、私、恥ずかしながら写真を載せさせていただきました。「けっこう重たいですね~」
 基本的な感染対策を施して、また自分の作ったものだけを自分で食するという「コロナ」の収まらない中での調理実習です。まあ、大人の”試食”については例外として、許可?しました。生徒の皆さん、とびきりおいしかったのですよ!

 皆さんは「満点☆青空レストラン」という番組をご存じですか?…土曜日午後6時30分から日本テレビで放送されるちょっと変わった?ステキな「グルメ番組」です。最近、ほとんどテレビを見ない人が多くなったので、まったく知らない人が多いでしょうかね。残念。私、この番組大好きなのです。

 普通のグルメ番組は(美味いとか安いとか、ボリュームあるとか…)特徴ある店や料理を紹介しますが、この番組は全国各地の食品生産業者の元を直接訪れ、テーマとして取り上げた食材(例えば、野菜とか魚)がどう育ちどのようにして消費者の元へと運ばれていくのか、また生産者の方々がどの様に苦労し工夫を凝らして食材を作っているのかということを(おいしく食べる前に)知ることができ、食材に対して知識を深めることができるのです。生産者の方々の中にはSDGsのテーマを意識している場合も少なくありません。

 進行役は宮川大輔さん。毎回必ず登場してゲストの方も収穫を一緒に手伝うことでその苦労や工夫を体感しているのです。まさに、小中学生や高校生の料理好きにも見てもらいたい、と毎回思ってしまいます。そしてその後、その地(その生産者の関係の方々)の方たちがテーマ食材を使った料理を披露し、様々特徴あるレシピが数多く登場し、増々食材への興味が湧きあがります。その食材やできたばかりの料理を口にした宮川MCやゲストが必ずいうことば…「うゎ!なにこれ…うまぁ~~!」なのです。

…すみません。民放の一(いち)テレビ番組を紹介しすぎてしまいました!私、何を紹介したかったかというと…、実は本校フードカルチャー(FC)コースの授業(称して「満点☆テストラン TJG版」についてのことだったのです。

〇FC主任:「校長先生、見てください、すごい大根でしょ~?生徒たちが作った練馬大根ですよ。これで、来週の月曜日、スズシロ汁と「練馬スパゲティ」を作るんです。先生、お部屋にもっていきますから試食してくださぁ~い」(数日前、FC主任が、調理室前で収穫したばかりの大根をもちながらのお知らせでした)

〇校長:「へ~?何、その“練馬スパゲティ”って?おもしろいネーミング、おいしい?」

〇FC主任「先生、練馬の子どもたちは必ず給食に出てくるから、とても懐かしがっていますよ。まあ、上手につくりますから、ぜひ!」

 パスタの大好きな私。試食しました!

「うゎ!なにこれ…うまぁ~~!」

 細めのパスタに練馬大根の“大根おろし”と“ツナ”を上手に混ぜて、ちょっと醤油とお酢(?)を感じる味をつけで…本当にうまい!(たぶん)大根おろしが絡めてあるから、スイスイのど越しに入ってしまうのでしょう。消化にもよいはず、間違いない!我が家でパスタといえばトマト味、具材たっぷりのパスタ…なのです(毎日食べても飽きない…いつもおいしいのダ)が、このあっさり目の和風大根入りパスタは本当に驚嘆のうまさでした。

 調理した生徒たちの多くが練馬区出身。食べ終わった満足そうな表情の中に、給食だけでなく小中学時代の様々なことをノスタルジックに懐かしがる様子もそこにありました。

 ”和”と”洋”にはなりましたが、スズシロ汁もうまい!大根おろしをふんだんに入れ、鶏肉にこんにゃく、ごぼう・人参等々のお野菜に、もちろん細く切った大根そのものとネギ(これもFCファームで育った千住ネギ)も加えて里芋”…、まあとにかく具材豊富でみそ味で(でも味噌汁ではない“スズシロ汁”)またもや「うゎ!なにこれ…うまぁ~~!」メチャクチャうまい。(よくタレントさんたちが使うことば)とにかく、食べ終わった後に元気が出るスズシロ汁なのでした。

 今回のブログは、本校FCコースの授業の一コマを紹介しましたが、このような“生きた”授業は、ほぼ毎週なのです。高大連携している女子栄養大の先生やエコール辻・東京調理師(専門学校)の先生がいらして、和食や製菓の授業をしてくださったりします。(この日もいらしてくださっていましたが)江戸野菜推奨者の大竹道茂様(の紹介で、何と!)フレンチの巨匠、オルテ・ド・ミクニの三國清三シェフが生徒たちにおいしいハンバーグの作り方を直接伝授してくださったり…と、すごいのです。来週は…確か、秋田の県立大館桜高校とのオンライン調理実習で秋田の米粉の調理を教えてもらうのでしたね。また試食をできれば…いいなぁ!

念のため…大竹道茂さんについては、ぜひ“江戸伝統野菜”で検索してみてください。

 さて、2019年開設のFCコース。「満点☆青空レストラン TJG版」としてどこかで紹介したいと思っていたFCコースの授業。この春2期目の生徒が卒業していきます。私の文章では、たぶん長くてわかりにくかったかと思いますが、生徒たちは、毎回楽しくニコニコしながら授業実施しています。

図書室に行き、集中して勉強している△さんにちょっかいを出して、「左手親指突き出して、OKサインして!」とお願いしてしまいました。最後の最後の最後まで頑張れ~。 図書室に行き、集中して勉強している△さんにちょっかいを出して、「左手親指突き出して、OKサインして!」とお願いしてしまいました。最後の最後の最後まで頑張れ~。

 皆様、こんにちは。「あけまして…」と、ついこの間新年のあいさつをしていたら、今や…(家に帰ると)「1月も、もうあと10日だね」などとまるで暢気な家庭での会話です。多くの受験生にとっては、これからが進路決定の大切な時期なのに…。

 さて、令和5年最初のブログになります。

 高校3年生は、すでに通常の授業はなくなりましたが、「大学共通テスト」後の振り返りやその後の大学受験のために毎日一部の生徒が図書室に登校し学習しています。朝から午前中、午後にかけても(ほとんど姿勢を崩さず)筆記用具をもち続けている姿に、私(校長)はついつい“ちょっかい”を出したくなり、「○○さん、□□さん、△△さん、ちゃんとお昼食べた?まずは食べることだよ」と声掛けします。それに対して、心の不安を顔に出さぬようにか…○○さんは、にっこりうなずき、一貫生の□□さんも「ハイ!今日のお昼もおいしかったです。」と目で返答。△△さんは「校長先生、大丈夫、しっかりたべた!」と左手を握って親指を突き立て“OKサイン”。その逞しさ…いいね…。最後の最後の最後まで、自分らしく頑張ってほしい、そう思うのです。

 本校への受験、つまり高校受験・中学受験。いよいよこの日曜日よりの推薦入試を皮切りに、中学受験・高校一般受験と始まります。こちらの受験生たちも、「まずは、おいしいもの食べて!」そして、一日の生活の中の一瞬でも“笑”や“笑顔”が見られると本番では“日頃”の力がそのまま発揮できるような受験になりますよ。自身の一日の生活を振り返り、就寝前に鏡を見ながら左手握って親指を突き立て、自分に向かってOKサインを示してください。毎日やっていれば、たぶんいろいろなことに自信がついてきますよ。他人から「がんばれ」といわれ頑張るのではなく、(その親指で)自分で自身の受験スピリッツを鼓舞(こぶ)してくださいね。

 

 もうひとつ、グローバルな、新年にふさわしい“素敵な”話題を…。

 先日、全校生徒が講堂に集まる機会がありました。Rさんの(少し早い)フェアウエル(farewell)セレモニーがありました。Rさんは、昨年4月に留学生としてドイツからきた生徒で、この1月で母国に帰ることになります。たぶん、来日前には日本語を一生懸命勉強してきたのでしょうが…4~5月のころは、(“たどたどしい”とも言えない)日本語のやりとりでした。しかし、壇上でのスピーチは日本語で書いたメモをチラチラと見ながらも、しっかりフロア全体を見通し、話し方の抑揚もつけて別れの挨拶をしていました。フロアで生徒たちの姿をみていると、何人かの生徒たちが目頭をふいている姿も見えました。 

 もちろん、2学期半ば過ぎからはほとんど生徒との会話やホストファミリーでの日常会話はこの10か月間で問題無いようになりました。日本の文化もたくさん学んだことでしょう。そして、Rさんは、バレーボール(全くの素人だったそうです)部に所属し、長かった金髪(まさにキラキラしていて、黒髪の日本人からするととてもうらやましい?)を、いつの間にかばっさり短くして、毎日一生けん命にボールを追っていました。規則がありますから、公式の試合には出場することができないにもかかわらず、他の生徒と(髪以外は)全く区別がつかないくらいにチームになじんで活動していました。春、対面パスさえうまくできなかったのに、先日は強烈なジャンプサーブをフロアに落としていました。バレーの専門の先生からも目を見張る成長ぶりでした。

 この留学生徒の姿を見て、「若者の無限の可能性」を感じずにはいられませんし、本当に素晴らしい学習生活を行っていると思いました。本校からも生徒が米・英・加・豪(オーストラリア)・新西蘭(ニュージーランド)に留学していて、日本に帰ってくると英語力を身に付けるだけでなく、生活面においても多くの成長が見られます。そして、本校の留学生を受け入れる環境も実に良かった、と思いますが、やはり、環境や体制のことよりも、何よりも本人の意欲と目的意識が無限の可能性の扉を自らが開いていくのだろう、そう思うのです。

 彼女たちを含めて、国籍を問わず、向学心・向上心をもつ若者を、積極的にサポートしていくことは、大人の使命であるとさえ思います。「Rさん、帰国をしてどんな道に進んで行くのだろう。とても楽しみ…」そんな思いをしながら、フェアウエルスピーチに私も目頭を熱くしました。