令和3年度「校長ブログ」スタートよろしくお願いいたします

グラウンドで、新設のソフトボール部が活動を始めました。よく見ると、生徒の中に新任の女性教諭(顧問)が・・生徒とキャッチボール。テニスコートでは相変わらず(というか、自分たちが中心になって、ますます意欲的に“キビキビ”と大会に向けて練習しています。テニス部、本当によく打ち込んでいますね。そして、体育館のバレーボール部も春休みから昨日までズッ~と練習、本当によく頑張る。新設で立ち上げたバスケットボール部は、本日(4月10日)よりいよいよ練習”再開“です。ミニバス出身生徒は、「早くボールを触りたかった」でしょう。(他の部活動の様子は次回)
さすがに、ソメイヨシノ(桜)ははっぱになりました。気品あるハナモクレン、かわいいかわいいハナカイドウも。代わってグラウンド前通路に等間隔に植えられたハナミズキが咲き始めました。ハナミズキという花は、“きれい”というよりも“かわいい”という感じ。八重桜がまだまだはなやかに…昨秋11月、PTAの皆様で植えていただいたチューリップ・パンジーの原色は今まぶしいくらい。そこここに花菖蒲もひっそりと…そしてまだまだたくさんの名もない(?)花々。人工芝のグラウンドのまわりは小さな植物園のようです。5月連休前、体育館裏はめずらしい「野草園」にもなるのです。(こちらも今度紹介しますね)
皆さんごきげんよう。「コロナ禍」ということばも慣れてしまいましたが、悔しいけれどそれが「日常」。その“変則日常”を踏まえながら、本校では4月6日(火)始業式、4月7日入学式(「密」を避けるため、午前高校生・午後中学生)を挙行しました。そして、激動の1週間が終わろうとしています。
改めまして、東京女子学院校長 野口でございます。皆さん「校長ブログ」へようこそアクセスしてくださいました。前置きが長すぎて・・困りますね。東京女子学院は平成20年代の終わりから「校長先生がよく変わる」と言われていましたが、その中で私は4年目を迎えました。この3年間、入学生徒の少ない状況も年ごとに改善されてきました。少しずつ認知度もアップしてきたという実感があります。生徒募集の成果は、またこれからの学校説明会等でお知らせしたいと思います。今回は、入学式(中・高)の「式辞」をこの後アップさせていただきます。公立時代の校長歴を含めて10数年になりますが、相変わらず儀式の式辞は苦手、思いだけが先走ってしまって、新入生にとって“伝わる”式辞“になったのかわかりませんが、アクセスしてくださった皆様も、我慢して(?)読んでくださいませ。
【中学校入学式式辞】
グラウンドのそこここで、多くの春の花々がかわいらしくそして美しく咲いています。そう、学校や社会全体が気持ちを新たにできる季節が廻ってきました。
中学、新一年生の皆さん、そして保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
PTA会長様そして保護者の皆様には公私ご多用のところ、本校の入学式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
さて、一年生の皆さん、今日は、入学式の式辞として一遍の詩を紹介します。
「〈思い〉は見えないが〈思いやり〉は誰にでも見える。〈こころ〉は見えないが〈こころづかい〉は見えるのだ」
これは、詩人、宮澤章二さんの「行為の意味」という詩の一節です。皆さんは、たぶんこの詩を聴いた憶えはないかもしれません。十年前の東日本大震災の直後に、テレビやラジオで本当によく聴くことが多かったのです。被害にあった人に寄り添い、その気持ちを形で表しましょう、ということをシンプルに伝えていると思います。
皆さん、本日私が紹介したいのは、実はこの詩ではありません。この詩に興味深く思ってこの方の詩集を買いました。今日はその詩が納められている本の中の別の一篇を紹介したかったのです。読みます。
今日はいい日
〈今日はいい日なんだ〉と思う
〈いい日なんだから元気を出そう〉と思う
そう思うだけで 自然に元気が出る
不思議でもなんでもない 日常の真実
人間は〈こころ〉によって呼吸する 存在
目には見えない〈こころ〉に支えられて
どんな苦しみをも克服できる 生きもの
だから私たちは身体を鍛えるように
みずからの力で〈こころ〉を鍛えつづけ
心身共にたくましく育つ必要がある
〈今日はいい日なんだ〉と思うから
元気が出て 努力して 今日が充実する
そして 充実の喜びを与えてくれる今日が
〈明日もいい日・・〉の希望を生むのだ
新入生の皆さん、〈今日はいい日なんだ〉と毎日思って登校して欲しい。朝のポジティブな心のもち方は、その日一日の行いをよりアクティブで生き生きしたものにしてくれるでしょう。そしてひとりひとりが「今日はいい日だ」と真に思い、みんながそう考えると、「意味もないいさかい」や悪口、いじめは起きようがない、充実した毎日がきっと送れる、私は、こころからそう思うのです。
新入生の皆さん、〈今日はいい日なんだ〉と毎日思い、家を出る前に〈今日はいい日なんだ〉と唱えて登校して欲しい。ぜひやってみてください。
もう一つ、あとで、本校の合唱部が校歌を歌います。その歌詞をしっかり味わってください。その歌詞の中に「いにしえの関町に 新しき風 呼ぼう」「少女子(おとめご)の理想を胸に 仰ぎ見る校塔(こうとう・・校舎)に 新しき風呼ぼう」と歌われます。とても素敵な校歌です。
そう、新入生の皆さん、皆さんがぜひ「新しき」、さわやかで、明るく、素敵な風になってください。そして、一人ひとりが「君らしさ」を育ててください。
保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。今日からお子様の中学校生活が始まります。小学校時代の「子育て真っ盛り」の生活から、子どもの「自分育ち」を側面から見守るといった「子育てのスタンス」となると思います。
保護者の皆様、明日から我が子を笑顔で送り出し、学校から帰ったら学校であったことをたくさん聴いてあげてください。
私どもは早く「東京女子学院大好き」になれるよう、教職員一同全力を尽くして教育にあたります。
さあ、1年生の皆さん、毎日〈今日はいい日なんだ〉と思い、こころや身体を鍛えていきましょう。そして、一緒にがんばりましょう。皆さんの生き生きとした毎日の取組の充実を願って、私の式辞といたします。
令和3年年4月7日
東京女子学院中学校・高等学校
校長 野 口 潔 人
【高校入学式式辞】
満開の桜も、散りゆくそれも、穏やかな光に映える春を迎えました。テニスコートの青色、グラウンドの緑色にも負けず、この時期こそとばかりに、あざやかにそして美しく多くの花々が咲き誇っています。・・・
そして、「コロナ禍」の中でも、学校や社会全体が気持ちを新たにできる季節が廻ってきました。
高校新一年生の皆さん、そして保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
本校後援会会長様そして保護者の皆様には公私ご多用のところ、本校の入学式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
さて、新一年生の皆さん、今日は、つい最近お会いした二人の保護者のことばを通して“学校”の在り方や“学習への基本的な考え方”を一緒に考えてもらうことで、本日の式辞といたします。
一人目の保護者の方。昨年十月、私は行きつけの整形外科に肩の治療に行きました。リハビリをして会計を待っているとき、近くにいた一人の女性に声をかけられました。「校長先生、覚えていますか田中です。」(田中は仮名です)「あ~、あやなさん(あやなさんも仮名です)のママ。懐かしい!覚えていますよ。あやなさんは元気ですか。」「はい、アジア選手権ではよい成績でしたが、オリンピック選考では残念でした。」「そうでしたか、そうそう、そういえば東京オリンピックを目指していましたよね」その女性は、十二年前、私が小学校の校長のとき、ある”種目”でオリンピックを目指していた児童の保護者の方でした。
「校長先生、娘の卒業式の先生のことば、まだ覚えていますよ。“君の行く(入学する)学校こそが一番よい学校です”そう先生はおっしゃっていました。娘は、そのことばで毎日元気に通っていました。」「お母様、十年以上の前のことばをよく覚えてくださいました。ありがとうございます。」
私の勤めていた小学校は多くの児童が私立中学に受験し、地元の公立中学校はあまり行きませんでした。大勢の友達が私立に行きながら、その児童は、私立には行かず地元の公立中学校で学校生活を送り、レスリングのできる高校・大学に入りオリンピックを目指していたのです。
もう一つの保護者のことば。この3月初旬、ある中学生のお父様が私を訪ねてきました。お嬢さんの「身体」のことの相談でした。その相談の内容は今ここでお話するものではありません。しかし、赤ちゃんの時から生命(いのち)の危険さえ直面した我が娘を、そのお父様が大事に、大事に育てていらしたことに感動し、私は同じ“人の子の親”として尊敬の念をもち、目頭を熱くしてしまいました。
そのお父様は、日本で一番有名な国立大学の出身の方でした。娘さんは本校の中学生として、常に“向学心”をもって、前向きに、積極的に学校生活、学習生活を送る生徒です。
お父様曰く、「校長先生、勉強はおもしろい、たのしい、もっと知りたい、もっと考えたい。そうでなくては勉強じゃありませんよ。」「よい結果が出たらうれしいし、でなかったらくやしい。楽しくなければ勉強じゃない、楽しく勉強できなかったら学校じゃありませんよ、小さいころからそう娘には言ってきました。そうすれば、私の出身大学だって・・・」とお父様はそのようなお話を朗々と話してくださいました。そして私は、「学習」への、実にシンプルな姿勢にまた感銘を受けたのです。
高校生になった皆さん、皆さんに伝えます。皆さんはこの東京女子学院に興味をもち、受験し入学した。単願で本校を希望した。中には第一志望ではなかったが結果本校に入学し、今ここにいる人もいる。
皆さん、どのような思いやいきさつがあっても、最後に本校への入学を自分で決めましたね。そして、この出会いを、自分からよりよい出会いにしようとしていますね。
改めて伝えたい。「君の行く学校こそが、一番よい学校です。」そして「楽しくなければ勉強じゃない、楽しく勉強できなかったら学校じゃない」そのような学校生活をめざしてほしい。「教える」教師、「学ぶ」生徒…いや、そうではなく、皆さんは高校生になったのです。「自立した学び合いの学習者」がこの学校にいる、そんな学校をめざしていきたい。私はこのように思います。
保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。今日からお子様の高校生活が始まります。高校生活、まずは学習生活、学習を極めることが何より大事です。その自覚をお嬢様の一人ひとりがもてるよう、皆様と学校が思いを共有させていただきたいと思っております。思春期の我が子は我が親の生き方を冷静に見習っていく時期でもあります。そのような意味でも学校とご家庭が「子どもの健全な成長」という同じ目標をもち、ご家庭でのサポートをお願いいたします。
さあ、高校1年生の皆さん。 Keep on Learning & enhance your well-being」
日々、前向きな学習者として頭脳やこころそして身体を鍛えていきましょう。そして新入生の皆さん、一緒にがんばりましょう。以上で私の式辞といたします。
令和3年4月7日
東京女子学院中学校・高等学校
校長 野 口 潔 人